No.689 南海トラフ海底地震津波観測網「N-net」(高知県沖〜日向灘)の構築、事業費175億円(運用経費を除く・2019〜2025年度・防災科学技術研究所)
南海トラフ地震の想定震源域の西側(高知県沖〜日向灘)の海底に、地震計と水圧計を入れた観測装置36台をケーブルでつなぐ観測網N-netの事業費は175億円(運用経費は含まない)。2025年6月に整備を終えた。
価格と出典
【価格】
・事業費175億円。運用経費は含まない。実施期間は令和元年度〜令和7年度(内閣官房 国土強靱化「災害時の効果発揮事例」・2024年10月掲載)
【内訳・条件】
・うち「3か年緊急対策」分が76億円(令和元〜2年度)で、海の調査、設計、システムの開発と検証などに使った。「5か年加速化対策」分が74億円(令和3〜7年度)で、観測機器の製作や海底への敷設工事などに使った(内閣官房)
・76億円と74億円を足すと150億円で、175億円との差の25億円が何に当たるかは資料に書かれていない(このサイトでの計算)
・実施主体は国立研究開発法人防災科学技術研究所。2019年から文部科学省の補助金(地球観測システム研究開発費補助金)で事業を進めた(防災科研・2025年10月1日)
・観測網は「沖合システム」と「沿岸システム」の2つ。それぞれ海底ケーブルと18台の観測装置(観測ノード)でできていて、計36台。装置の中に地震計や津波を測る水圧計などが入っている。データは光海底ケーブルで2つの陸上局に送られる(防災科研)
・沖合システムは2024年7月に整備を終えて同月1日から試験運用、同年10月にデータ公開、11月に気象庁が津波情報などに使い始めた。沿岸システムは2025年6月に整備を終え、同年10月1日にデータ公開を始めた(防災科研・内閣官房)
【注意】
・175億円は、整備がまだ途中だった2024年10月の資料の額。整備を終えたあとの最終的な費用の総額は、確かめきれていない
・年度ごとの予算(当初予算・補正予算)の積み上げは、このサイトでは確かめていない
・この観測網で地震の揺れを最大20秒ほど、津波を最大20分ほど早く直接とらえられるようになると、内閣官房の資料は見込んでいる。実際にどれだけ早まったかの検証結果は確かめていない
【なぜこの価格なのか(考察)】
出典の事実:費用の中身は、海の調査と設計、システムの開発、観測機器の製作、海底への敷設工事。整備したのは、南海トラフ地震の想定震源域のうち、それまで観測網が無かった西側の海域で、36台の装置を海底ケーブルでつないで陸まで引いている(内閣官房・防災科研)。
推測:深い海の底に長いケーブルと精密な機器を沈めるには、専用の船による調査と工事が何年も要るため、陸の観測点とは桁の違う費用になると考えられる。巨大地震が起きたときに、揺れや津波の知らせが数十秒から数十分早まることの値打ちが、国がこの額を出す理由になっていると考えられる。
【どんな人が利用しているか(考察)】
出典の事実:データは防災科研のホームページで公開され、気象庁に送られて緊急地震速報や津波情報に使われる。2024年8月8日の日向灘の地震(最大震度6弱)では、試験運用中の沖合システムのデータが政府の地震調査研究推進本部の評価に使われた(内閣官房・防災科研)。推測:直接の使い手は研究者と気象庁で、速報や津波情報を通じて、四国から九州の太平洋側に住む人が知らせを受け取ると考えられる。
【提供元】
・国立研究開発法人防災科学技術研究所 — N-netを整備し、陸と海の観測網(MOWLAS)として運用する研究機関 — https://www.bosai.go.jp/(茨城県つくば市)
【出典】
・南海トラフ海底地震津波観測網の構築による災害の早期検知(内閣官房 国土強靱化「災害時の効果発揮事例」・2024年10月掲載)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/kouhou/koukahakkijirei/pdf/r6jirei/r6jirei6-3.pdf
・防災・減災、国土強靱化の効果発揮事例(内閣官房)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/kouhou/koukahakkijirei.html
・南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)沿岸システムの観測データの公開開始(防災科学技術研究所・2025年10月1日)https://www.bosai.go.jp/info/press/2025/pdf/20251001_01_press.pdf
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